ハードウェア2023.07.20Written by ふなっしーcolumn No.5
Harmonicのエンコーダ「XOS」とストリームプロセッサー「ProStreamX」を使って統計多重をやってみた
今回は、Harmonic社のエンコーダ「XOS」とストリームプロセッサ「ProstreamX」を用いて、2つの映像ソースをエンコード・統計多重化し、TSをIPで出力した上で、出力したTSの中身をDekTec社のTS解析ソフトウェア「StreamXpert」で覗いてみようと思います。
そもそも統計多重とは、固定の帯域幅 (今回の検証では15Mbps)を複数の映像との間でシェアし、動きの多い複雑な映像の方がより優先的に多くの帯域幅を割り当てることができる技術のことです。統計多重により、限られた帯域幅の中で複数の映像を高品質な状態で効率的に伝送することが可能です。Harmonic社製品では、XOSとProStreamXを組み合わせることにより、統計多重を行うことができます。
今回の検証では、1つ目の映像ソース (InnoQos Channelと命名)を、ビデオはMPEG2 Video、オーディオはMPEG1-Audio (Layer 2)のコーデックでエンコードを行います。一方で、2つ目の映像ソース (KAWARA Channelと命名)は、ビデオは、MPEG-4 AVC/ H.264、オーディオはAACでエンコードを行います。そして、2つの異なるコーデックでエンコードされた映像を、1つのTSに統計多重化し、出力を行います。
検証構成
※SPTS (Single Program Transport Stream)とは、1つのTSに1つのプログラム (サービス)が含まれているTSを指す。一方で、MPTS (Multi Program Transport Stream)は、1つのTSに複数のプログラム (サービス)が含まれているTSのことを指す。
XOSとProStreamXへの設定は、Harmonicのマネジメントコントローラー「NMX」を用いて行います。NMXを用いることにより、各機器の一括管理・監視・設定を行うことが可能です。
NMXでは、各機器やサービスの監視を行う「NMX Operator」と、各機器やサービスの設定を行う「NMX Designer」というアプリケーションが主に使われます。今回は、NMX Designerを使って、2つのサービス (チャンネル) を作成し、それぞれのサービスの映像のエンコードを行った上で、1つのTSに多重化するよう設定を行います。
設定値
NMXに下記の設定値の入力を行った。
※TSはIPマルチキャストでProStreamXから出力される
InnoQos Channelの設定
下図は、NMXの映像や音声の設定画面。ビデオやオーディオのコーデックや、ビデオの画角・アスペクト比、オーディオのビットレートやサンプルレート、音声モードを設定することができます。
KAWARA Channelの設定
統計多重の設定画面
15Mbpsというプールビットレートを「InnoQos Channel」と「KAWARA Channel」で分け合うように設定しています。各サービスは、映像の複雑さに応じて、最小3Mbps、最大12Mbpsの範囲で、15Mbpsのプールに収まる形で出力ビットレートを上下させます。
TSの中身を覗いてみる
PAT (Program Association Table)
PMT (Program Map Table)
SDT (Service Description Table)
NIT (Service Description Table)
TOT (Service Description Table)
ふなっしー2022年9月にイノコスへ入社。元々「IT」と「映像配信」の分野に強い興味があり、両方の分野で仕事ができるイノコスに惹かれて入社。イノコスに入る前はアメリカで学生をやっており、高校から大学までアメリカで過ごしたイノコスのU.S.逆輸入ファイター。営業チームのメンバーではあるが、技術の仕事もよく任される。社内での愛称は「ふなっしー」。好きな食べ物は寿司。